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【バルセロナ、秘数3】
（中沢新一著／中央公論社／1992）
2010.3.28 レビュー
このコーナーにて紹介される本の中では、明らかに異質である。何故ならば本著は紀行小説であり、占い本では無いからである。しかしながら占いとしての使用ではない本来の数秘術に触れることの出来る内容となっているので、取り上げる次第である。
非常に簡単に概略を説明すると、スペインのバルセロナに赴いた旅人が、バルセロナ、そしてそれを内包するカタルーニャ地方に根付く秘数 『3』 について、歴史的観点からその謎を紐解いていくというストーリーである。
「エル・ヌメロ・カタルーニャ（カタルーニャ数）」であるところの 『3』 は、三角形の形をしたカタルーニャ地方そのものを支配する数字であり、例えばカタルーニャ州旗の9本の色違いのストライプは3×3であったり、領土拡大の為に行われた3度の大きな戦争、そしてその後の不遇な3世紀、更には対スペイン、対フランスのブルボン王朝、対ナポレオンの3度の抵抗運動などなど、カタルーニャ地方の歴史も交えて紹介されている。
そしてその後は、その 『3』 と対立する 『4』 の存在について紙幅を割いている。三位一体の 『3』 と十字架の 『4』 。『3』 の持つ大らかさや生産性を包み込もうとするルールの 『4』 。上記で示した各国家群に象徴される 『4』 が、自由で生き生きとした気風に満ちた 『3』 のカタルーニャの支配を試みてきた歴史などなど。『3』 と 『4』 の数秘術的意味を考察するにおいて、とても参考になる文章が並んでいる。
更にその秘数 『3』と 『4』はサグラダ・ファミリアの創造主であるアントニオ・ガウディにも大きな影響を与えたことにも触れている。それ以降はバルセロナ及びカタルーニャ地方の風景・文化・人間・町並み等に触れながら、秘数 『3』 に纏わる歴史的・宗教的・数学的な著述が大いに繰り広げられることになる。
正直言ってこの本は、占いとしての数秘術については何一つ書かれていない為、占い目的での購入はお奨めしない。更には読み進めるのもそれほど簡単なものでは無かった。
しかしながらヨーロッパに息づく数字（数秘術）の影響力や秘数 『3』と 『4』の象意（イメージ）を心に刻み込むには良い著作物であると私は思う。スペイン（特にカタルーニャ地方やバルセロナ）好きには堪えられない本であるに違いない。
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