【Universal Waite Tarot Deck (カード)】 (United States Games Systems; Crds版・1992/06)
2008.8.9 レビュー
カードの構成やデザインは先述の「ライダー版」とほとんど同じである。違うのはメアリー・ハンソン・ロバーツ(ハンソン・ロバーツ・タロットの作者)が再着色を施し、非常に柔和なタッチへと生まれ変わっている点である。
元祖の「ライダー版」が割ときつめの色調で描かれているのとは異なり、そのパステル画のような画風は触れる者の心まで柔らかくしてくれるかのようである。正に女性向きのタロットと言えなくもない。
カードの裏模様も「ライダー版」が格子模様であるのに対し、この「ユニバーサルウェイト」は星模様となっており、カードをシャッフルする際には、まるで宇宙開闢(かいびゃく)の光景を垣間見るかのような不思議な感覚を覚える事だろう。
…とここまで誉めてきたが、「ライダー版」のリメイクとも呼べるこのカードにも欠点は存在する。「ライダー版」作者のアーサー・エドワード・ウェイトがタロットの中に織り込んだ、魔術的要素が一部分かりにくくなってしまっているのだ。
14番の「節制(Temperance)」に描かれた大天使ミカエルの胸にある四角形と三角形の模様のすぐ上に、纏(まと)っている服の皺(しわ)が確認出来るのだが、じつはこの皺「ライダー版」ではヘブライ文字にて『ヤハウェ(YHVH)』と描かれており、即ち旧約聖書中の『唯一神』の名が記されているのだ。
「ユニバーサルウェイト」の「節制(Temperance)」にも、この文字らしき皺は確認出来るのだが、その文字の上には青く細い線が引かれてしまっており、ほとんど読み取れなくなってしまっている。
このように「ライダー版」の完全な再現版とは呼べないタロットかも知れない。しかしながら、その美しい構図や温和な色調は、このタロットに体温を与えているかのようであり、また実占の際にも相談者の緊張を和らげる良いツールに仕上がっているのではないかと思う。 ちなみに現在の私は、「ライダー版」とこの「ユニバーサルウェイト」を併用している。
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