【人生を思い通りにする数の法則―数秘学の教え】 (山田孝男著/福昌堂刊/1997)
2009.5.30 レビュー
この本の著者は瞑想指導家、発明家、占星学・数秘学研究家等様々な肩書きを持っており、本著はシンボリズムやチャクラ、波動等、著者のあらゆる思想が詰まった濃厚な数秘術本となっている。
パート1〜3の三部構成となっており、パート1では『宇宙の法則と数』と題して、0〜9の各数字の象意や象徴図形の説明、数字と波動との関係などアカデミックに綴っている。現代物理学と神秘学の共通点を辿っていく著者の探求姿勢には驚かされるばかりである。
また「なぜ誕生日によって運命のパターンが決まるのか」・「数の影響力は人生のどのように作用するのか」といった疑問点にも答えており、数秘術鑑定を行う上での論理的根拠として活かしていくことが出来ることだろう。
続くパート2では『神秘学と運命の波動』と題して、著者の数秘術体系を顕(あらわ)にしている。 生年月日の合計(単数変換)にて算出する「運命数」とその計算方法、そして各「運命数」ごとの解説(積極面・消極面・成功する職業)も分かりやすく綴られている。ちなみに本著の体系ではマスターナンバーを「11・22・33」としているのも特徴である。
また「準運命数」として3つの人生周期を算出する方法(形成期・生産期・収穫期)についても言及しており、更に4つの人生周期に分ける「達成数」や前後半の人生周期に分ける「挑戦数」、更に9年周期の「個人年」や「個人月」を取り上げている。名称は異なるが概ね現代数秘術にて用いられているチャートによる鑑定のスタイルを踏襲しているようだ。
ところが本著では、先述の「個人年」をより詳細に分析する為「マギの周期(数)」という13〜40までの数字を用いる独自の概念を用いており、その計算方法もまた独特のものとなっている(もしかしたら私の読んでいない洋書に同じような方法が取り上げられているかも知れないが)。
また各数字同士の相性やチャートによる総合分析法なども持ち込まれており、読破することで内容の濃い数秘術鑑定が可能となることであろう。
そしてパート3では『人生を創る影響力』と題して、名前による鑑定(いわゆるゲマトリア)を取り上げている。 「内的自己(母音)」や「外的自己(総計)」・「心情的自己(子音)」・「潜在意識的自己(未出現の数字の数による独自の計算)」・「カルマのレッスン(未出現の数字)」などの概念やそれぞれの各数字の解説が記載されている。
アカデミックな数秘術本のお手本とも言えるのではないかと私は考えるが、同時に波動や魂などの概念についてもかなりの紙幅を割いている為、そういった概念を科学的見地から認めない人にとっては抵抗感を感じてしまうことになるだろう。
しかしながら昨今の初心者に迎合した数秘術本とは一線を画した良書であると私は思う。 中級者以上のレベルの人にとっては、数秘術の理論強化にきっと役立てることが出来ることだろう。
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