【神秘のゲマトリア姓名音数占い―古代ヘブライ文字による究極の「新」数秘術】 (斎藤 悠貴著/明窓出版刊/2002)
2008.8.30 レビュー
この本は先述の「名前で運命のすべてがわかる数秘術」同様、ゲマトリアが主体の構成となっているのだが、「名前で運命〜」がアルファベットベースのゲマトリアであったのに対し、本著はヘブライ文字をベースとした独自の数値変換システムを採用している。 日本語の「あ」から「ん」までの文字、拗音(ようおん・「しゃ」など)・促音(そくおん・「やっ」など)一つ一つの音節ごとに「1」や「50」や「200」などの数字を割り当てているのだ。
当然この方法は日本人名専用のシステムであるので、欧米人等には使用する事が出来ない。その点の注意は必要である。
このシステムを用いて算出した数字を今度は「素因数分解」(例:248⇒2×2×2×31 というように素数のみの積で表す)し、更にそれぞれをパターン化(例:「2×5×素数」型など)する事で、従来のゲマトリア変換とは全く異なる視点からの性格分析・運命傾向判断が可能となるのだ。
ちなみにこの「素因数分解」を用いる方法は、当コーナーにてレビューした「数秘術−数の神秘と魅惑」でも取り上げられている。
この方法にて基本パターン(例:「実業家タイプ」「芸術家タイプ」など)を割り出す事で、その基本パターン毎の「性格・性質」「適職・才能」「相性」「ソウルメイト」「2001年からの運勢傾向」などが明らかになるのだ。
本著ではこの独自のゲマトリア以外にも、通常の数秘術で見られるような生年月日や誕生日からの数字算出方法や著者独自の「ゲマトリアン・タロット」の概略、更にゲマトリアや「666」に纏わる小コラムなど、様々なコンテンツが用意されている。
先述の「名前で運命のすべてがわかる数秘術」同様、氏名がわかれば鑑定可能である点は大いに評価できる。また「素因数分解」を用いた独自のシステムである為、現代数秘術におけるアルファベットのゲマトリアに慣れた人であればあるほど、その鑑定結果は非常に新鮮に思える事だろう。
ただし慣れるまでは「素因数分解」に関してある程度の数学的知識が要求されるだろうし、また現代数秘術の体系とも大いに乖離(かいり)しており、馴染めない人も多いかも知れない。
しかしながら著者のゲマトリアに対する想い、とりわけ日本語を発音をベースにしてヘブライ文字に対応させるその研究成果には、ただただ脱帽せざるを得ない。 将来的に「音素」を重要視したゲマトリアシステムの構築を夢見る私は、本著に大いに啓発されたのである。
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